合格者のメッセージ
Voice:12 寺岡 良祐さん(平成21年 新司法試験合格)
「初心を忘れず 町の法曹として生きてゆきたいです。」

私が法曹を目指した動機は、「正義の実現」です。学部時代に読んだアダム・スミスの『道徳感情論』に衝撃を受け、修士課程に進学し、法哲学の研究をしました。「正義」とは、各人の善き生への探求を各人に委ねることだと知りましたが、目の前で困っている一人の人を助けることができる者のみが正義を語る資格があるのではないか。そう思ったとき、私は法曹になりたいと思いました。

幾度か旧司法試験に臨みましたが、試験を安易に捉えすぎていたこともあり、あえなく挫折。不動産仲介会社で働いていました。そんな時、ハーマン・メルヴィルの『白鯨』を読み、もう一度夢を追いかけよう、白い鯨を探しに出ようと思いました。

そのような折、神戸学院大学法科大学院の説明会に参加し、当時の馬渡研究科長の話に感銘を覚えました。そして、神戸学院大学法科大学院は、コミュニティ・ローヤーの育成を理念として掲げています。私の目指す法曹像は「町弁」であり、本学の理念に合致しました。加えて、通っていた高校の近所にあるという感覚地理的理由、奨学金制度が充実しているという経済的理由から、私は絶対に神戸学院大学法科大学院に進学すると決めました。

法科大学院在学中は、毎日朝の9時から夜の9時まで大学院に居ることを義務としました。休日は要らない。働いていたときの苦労と比べたら、楽しくて仕方がない毎日でした。夢に邁進できたのです。

まず学習についてですが、第一に授業を中心とすることを心掛けました。私は、授業に参加することにより、考える力がつきました。暗記することよりも考える力をつけることが何より重要だと思います。

次に、仲間とのゼミ活動。法律は対話の学問であるといわれます。独り閉じこもっていては自分の誤りに気付かない。それに、机に黙々と向かっているだけでは効率が悪い。では、どのようなゼミを組むのか。それは、「怖れる」仲間と組むことです。ニッコロ・マキャベリ曰く「人は、怖れる者よりも愛する者をより多く傷付ける」。友だちとゼミを組んだところで結局は馴れ合いに終わるのなら、ゼミを組むだけ無駄なのです。ゼミを組む以上は自分が怖れる仲間を巻き込む以外に道はない。そして、「怖れる」仲間とは、自分より一回りも二回りもよく出来る人間、「このようになりたい」「こいつには弱みを見せたくない」という人間です。

ところで、すべてにおいて最も重要なことは時間だと思います。人は時間に拘束されており、時間から自由になることはできない。そして、すべての課題は決められた時間内に仕上げなければならない。今は今しかない。「あの日」に戻りたい、という「その日」が今日なのです。日々、後悔しないように生きて欲しいと思います。
夢中に勉強できるよう支えてくれた家族、夢を語り合った法科大学院の仲間、ときに厳しい言葉を与えて下さり、優しく見守ってくれた教授、学生のことを第一に考えて下さった事務の方や図書館の方、朗らかな警備員さん、無理を聞いてくれた教育準備・研究支援室の方、美しい環境を提供してくれた清掃員さん、皆さんのおかげで合格できました。自分の努力なんてちっぽけな要素に過ぎないと感じます。上手く表現できませんが、皆さんの御恩に報いることができるよう、初心を忘れず町の法曹として生きてゆきたいです。